
登山やキャンプグッズであったか非常食
非常食といえばビスケットや缶詰など、取り出してすぐに食べられる手間いらずな商品がメジャーです。 しかし、大変な時だからこそ温かい食事があるとうれしいですよね。
また、災害でガスや電気が使えなくなった時、冷蔵庫の中にあるものを調理し使い切ることも考える必要があります。
キャンプなどアウトドア用のグッズには、災害時などでも便利に使うことのできるものがたくさんあります。
今回は温めだけではなく、ちょっとした調理にも使うことができるアウトドア用の調理器具をまとめてご紹介いたします。
持ち運びに特化したコンパクトな固形燃料
固形燃料は、旅館や小料理屋などの小鍋料理によく使われています。
一見頼りなさそうに見える固形燃料ですが、お湯を沸かす程度であれば十分の火力があり、スープや缶詰を温めたりするだけではなく、一人分の鍋を調理する程度の力があります。
固形燃料にはコンパクトな『ストーブ』と呼ばれる折り畳み式のゴトクがセットになっているものもあり、そのままコンロとして使うことができます。
固形燃料の素材
固形燃料には2種類あります。
ヘキサミン
海外の製品でよく使われているもので、固形燃料ではエスビットと呼ばれています。 少量のシアン化水素を発生させるため、屋外使用が基本です。 特有の臭いがあり、煤がつきやすいです。
メタノール
日本製の青い丸い固形燃料やパック燃料のほとんどはメタノールです。 アルコールランプに用いられる燃料で、小さいサイズの固形燃料であれば室内での使用も可能です。 嫌な臭いもなく、ヘキサミンよりは扱いやすいです。
固形燃料のサイズの違い
固形燃料は、大きさによって燃焼時間が異なります。 メーカーによって燃焼時間や火力が異なるので、パッケージをよく見て購入しましょう。
調理するなら20〜30g
旅館などの小鍋を煮炊きする燃料はだいたい20〜30gのもので、一人分の小鍋程度の量であれば十分調理が可能です。 炊飯でも火力は十分です。
燃焼時間目安:約20分前後
コーヒーを飲む程度なら15g
15g程度のものもありますが、こちらは500ml以下の水を沸かすくらいがちょうど良く、調理よりも湯煎などに向いています。 コーヒーを飲む際に湯を沸かす程度であれば、このサイズがちょうど良いです。
燃焼時間目安:約15分前後
長時間火を焚くなら100g以上
固形燃料には、100g以上の大きさのものもあります。 缶入りのものであれば蓋ができるので、使いたい分を使ってそのまま保管ができますが、そうでないもに関しては使い切る必要があるので、火が消えるまで待つ必要があります。 長時間火を焚く必要がないのであれば、小さいもので十分です。
固形燃料の保管の仕方
固形燃料は長期間保管しておくと、未開封であっても劣化してしまいます。 ジップロックなどでしっかり密閉し、定期的に使い切るのがベストです。
ゴトクがあればすぐに使える 固形燃料用ポケットストーブ
小さく軽量な固形燃料用は「ポケットストーブ」や「ポケットコンロ」と呼ばれるコンパクトな折り畳みコンロが使えます。
固形燃料は、受け皿やゴトクがないと調理ができません。
ゴトクと受け皿がセットになっている製品を購入すればすぐに使うことができます。
四角いエスビットを使うことを想定された製品が多いですが、メタノールの丸い形の固形燃料でも問題なく使うことができます。
アルコールストーブ
燃料にアルコール(メタノール)を使った調理器具で、アルコールバーナーとも呼ばれています。 小さくコンパクトで、持ち運びに便利な調理器具です。
アルコールストーブの使い方
バーナーと呼ばれる入れ物に燃料を入れ、火をつけます。
蓋が付いているので、消化する時は蓋を閉めるだけで火を消すことができます。
バーナーにはゴトクが付いていないので、調理する時は別途ゴトクを用意する必要があります。 また風に弱いので、外で調理する時は風防も必要です。
使う時の注意
- メタノールの火は、青い炎で日中見えづらく、火がついているかわかりにくいため、火の上に手を近づけたりしないよう注意してください。
- メタノールと消毒用のエタノールが似ているため、間違う人がいます。エタノールでも火はつきますが、本来の目的とは異なる使い方はやめましょう。メタノールを消毒用として使わないようにするため、容器を取り違えたりしないよう注意をしてください。
- 火力は調節できないため一定ですが、火の勢いは思ったよりも強いです。ストーブのすきまからも炎が出てくることもあります。火傷には十分注意してください。
アルコールストーブの燃焼時間
バーナーのタンクの容量によって異なります。 小さいサイズで約20〜30分ほど燃焼可能です。
アルコールストーブ用の燃料
アルコールストーブで使う燃料は主にメタノールです。 燃料用アルコールとも呼ばれ、ドラッグストアなどでも販売されており、入手しやすいです。
すぐに使えるアルコールストーブセット
中にアルコールを入れればすぐに使うことができるコンロのセットです。
アルポットは、アルコールランプが内臓されているポットタイプのアルコールストーブで、火が消えにくく鍋も不要なので非常に便利です。非常食実食会でも使用しています。
シングルバーナー(ガス)
ガス缶を使った調理器具で、ガスバーナー、ガスストーブとも呼ばれます。
キャンプなどのアウトドア用のものと家庭にあるカセットガスコンロとの違いは、家庭用の長細いガス缶(CB缶)ではなく、OD缶と呼ばれる屋外用の丸い形のガス缶を使うことです。
カセットガスコンロとアウトドア用の違い
基本的に、家庭用カセットコンロは屋内、アウトドア用は屋外での使用です。
家庭用のカセットガスコンロも屋外使用が可能ですが、火力が弱いため、風が吹くと火が消えやすいなどアウトドア用のものに比べると力不足です。
ただOD缶は専門店でしか購入ができないので、普通の細長いガス缶(CB缶)の方がいざという時に購入しやすいメリットがあります。
カセットガスコンロでも、風防付きで屋外使用可能なものもありますので、家用と兼用したい場合は、こちらを購入しておくと便利です。
シングルバーナーの使い方
ガス缶と燃料器具(バーナー)を接続します。
火力調整レバーを少し回しガスを出し、着火します。
最近のものはカセットガスコンロのように着火装置が付いたものもあり、女性でも扱いやすくなっています。
使う時の注意
ガス缶が熱くなりすぎると爆発の危険があるので、ガス缶を覆うような大きな鍋や鉄板は使わないでください。また熱い炎天下のアスファルトの上での調理や、高温の車内での保管は大変危険です。
また慣れないうちは火の調整が難しいため、ガスの量の調整を慎重に行ってください。
シングルバーナーの燃料
ガス缶には、LPガスが使われています。 OD缶にはノーマルタイプとパワータイプがありますが、北海道のような寒い地域でない限り、災害時で使うだけならノーマルタイプで十分です。
種類
ガス漏れ等を防ぐため、基本的にガス缶と燃焼器具のメーカーは同一のものを使います。安いからと別のメーカーのものを購入しないようにしましょう。
ガス缶とセットで購入しておくと間違いありません。
一体型
バーナー部分とゴトクがコンパクトに一体化しているタイプで、ガス缶の上で調理します。 コッヘルなど小さい鍋で調理するのに向いています。
分離型
ガス缶とバーナー部分を繋ぐホースが長く、ゴトク部分も大きく安定しているため、大きめの鍋でも調理が可能。 家庭用ガス缶のような長いタイプの缶が使えます。
ソーラークッカー
キャンプ飯で今注目を集めているのが、このソーラークッカーです。 ソーラークッカーとはその名の通り太陽光を利用した調理器具です。晴れている日であれば熱源なしで使用できるので、ある意味究極のサバイバル飯と言えます。
使い方さえしっかり覚えれば、災害時にガスや電気がなくても調理が可能になります。
ソーラークッカーの使い方
反射パネルの中央に調理したいものを置き、食材に火がしっかり通るまで待ちます。 調理するものや使うパネルなどによって調理時間は異なります。
種類
高温で調理できるパラボラタイプ
傘をひっくり返したような形のパラボラタイプですが、高温での調理が可能で調理時間も短いのが特徴です。
持ち運びに便利なパネルタイプ
パラボラタイプに比べ、安価でコンパクトなのがパネルタイプです。 ただ調理時間はパラボラよりも長くなりますが、日光がしっかり当たれば、きちんと調理が可能です。
お鍋にもお皿にもなる調理器具コッヘル
非常食を温めるのであれば必ず用意してほしいものと言えばコッヘルです。 コッヘルは取手がついた小型のお鍋のような形の調理器具で、とても軽くコンパクトに収納できます。クッカーとも呼ばれています。 お皿としても使うことができるので、食器やお鍋を別で用意しなくても、これ1つで調理から食器まで対応できます。
コッヘルの材質
一般的にはアルミ製のものが多く、熱伝導率が良く、安価で軽く使いやすいのが特徴です。 他に傷のつきにくいステンレス製もあります。
コッヘルの種類
大きさや形状などたくさんの種類があります。 非常食を温めたりお茶を沸かす程度であれば、フライパン型と深型のみで十分対応できます。荷物を少しでも減らしたい場合には、シエラカップと呼ばれる深型のカップだけでも十分です。
また黒いタイプは光を吸収しやすく、ソーラークッカーでの調理にも最適です。
チタン製のコーヒーコップも万能
アウトドア製品でよく見かけるチタン製のコーヒーカップですが、これも直火で使えるものがあり調理器具として利用できます。コーヒー一杯作るためのお湯を直接カップで沸かすことが可能です。コッヘルで調理したあとの残りの火でコーヒーを入れるなど、1つあれば役に立ちます。