
非常用持ち出し袋とは、災害時など緊急避難をする際に持ち出す、防災グッズを入れたバッグのことです。避難袋とか防災バッグなどとも言われますが、この中に入れる非常食について、結構悩まれている方が多いのではないでしょうか。
避難所に備蓄された非常食の量
避難所=非常食の備蓄がある、そう考えている方もいるかと思います。しかし実際はほぼあてになりません。
避難所にある備蓄は1.5日分
自治体や避難先にもよりますが、基本的に備蓄は避難想定者数×1.5日分が用意されています。
私が住んでいる岡山市の備蓄計画書を見ると、クラッカー1食分、アルファ米2食分、500mlの水1本が一人分の食料です。かなり少ない上、避難想定者数上回る避難者がいる場合、これでは足りませんし、下手をすると、行き渡らないことを考慮し配られない可能性もあります。
さらに災害の大きさによっては避難所が損壊し、備蓄品が食べられなくなることだってありえます。
アレルギーや疾患のある人はとくに準備を
岡山市の場合、アレルギー対応食が10%分備蓄されてはいますが、実際アレルギーの方がどれだけいるのか判断できません。また嚥下の難しい方用のおかゆや赤ちゃん用のミルクも備蓄されていますが、どこまで対応できるかは難しいところだと思います。
非常用持ち出し袋に入れる非常食の条件とは
まず一番重要なことは、嵩張らず重くないものであること。
非常用持ち出し袋には、避難に必要な防災グッズがたくさん入っているはず。そこにさらに大量の非常食を入れてしまうと、嵩張る上、重くて避難の妨げになってしまいます。そのため、なるべく軽く嵩張らないものが条件となります。
次に重要なことは、調理不要でサッと食べられるもの。
緊急避難の場合、避難所でガスや電気が使えるかどうかわかりません。また調理でにおいが出るものは、周囲の人の迷惑にもなり、トラブルの元にもなります。できれば食べているのを周囲に気づかれにくいものがベストです。
軽く嵩張らず、サッと食べられるものが条件となります。
腹持ちのいいカンパン
王道中の王道といえるこのカンパンですが、とくにカンパンは軽くて硬いので、持ち出し袋に入れるには最適な非常食といえます。
硬いのでゆっくり口の中で柔らかくして食べるので、腹持ちもいいですし、においもない。
開封後もすぐに湿気にくく、日持ちするのもおすすめポイント。またお湯にふやかせば、離乳食の赤ちゃんや嚥下の難しい方でも食べやすくなります。
ただしカンパンはかなり口内の水分をもっていかれるということで、食べる際には水などの飲料がある程度ないと厳しいという意見もありました。
一度にたくさん食べるものではなく、口に含み、ゆっくりとふやかして食べると良いのかもしれません。
カロリーメイトなどのスティックタイプの総合栄養食
カロリーメイトは栄養素がバランスよく含まれていますので、栄養素が不足しがちな災害時の食事に最適です。
味もバリエーションがあり、複数の味を揃えておくと飽きがきませんし、どこにでも携帯できて、サッと食べられるので、持ち出し袋向きだといえます。食べ慣れている人も多いので、カンパンが苦手な人にはこちらがおすすめです。
カロリーメイトロングライフ
カロリーメイトもロングライフタイプがあります。味はチョコ味で、普通のカロリーメイトと味は同じなのに賞味期限が3年と長期備蓄が可能。持ち出し袋に入れっぱなしにしておけば、いざというときすぐに持ち出すことができます。
スーパーバランス
また6年備蓄可能な栄養機能食品スーパーバランスもおすすめです。
カルシウムと鉄分の摂取に特化した製品で、チョコ味と全粒粉と味が2種類入っているので、飽きが来ないです。
袋に入っていて軽くて嵩張らないので、こちらもおすすめです。
癒しにもなるお菓子の非常食
手軽な非常食といえば、お菓子の非常食です。
お菓子は子供だけではなく、大人も大好きで、癒しにもなるためお菓子の非常食もおすすめです。
IZAMESHI OKASHIチョコバー
袋入りで、とうもろこし、米、オーツ麦、はと麦、もち麦の5種類の穀類の入った硬めのチョコバーです。賞味期限3年で、内容量は8本入り。チョコの非常食って意外とないので、チョコが好きな方におすすめの非常食です。
長期保存食マリー MARIE ビスケット
こちらはあの森永のマリービスケットのロングライフバージョンです。
袋に入ったマリービスケットで、賞味期限は6年とかなり長く備蓄が可能です。内容量は12枚(3枚入りパック×4袋)で、個包装になっているので、少量ずつ食べることが可能です。缶入りだと嵩張りますが、袋いりだとコンパクトで運びやすいです。ただ割れる危険性があるので、重いものの下敷きにならないよう注意が必要です。
湖池屋LONG LIFE SNACK
こちらはあのコイケヤが発売しているスナック菓子の非常食です。缶入りはサイズの大きいものが多いので、持ち出し袋に入れにくいのですが、こちらはパン缶くらいのサイズなので、入れやすいかと思います。
中身は市販のものと同じで、食べ慣れた味を避難先でも食べることができます。
賞味期限は5年とかなり長く備蓄可能。缶入りなのでバッグの底に入れていても、押しつぶされる心配はありません。
そのまま食べられるおにぎり
ご飯類の非常食に多くは、水やお湯、温めなどの調理が必要なものが多いですが、なんとおにぎりがそのままパックになった非常食もあります。常温で保存可能で、開封するとすぐに食べられますので、災害時に貴重な水や電気ガスを使わずに済みます。
5年保存そのまま食べられるおにぎり醤油味
国産米100%のレトルトタイプのおにぎりです。塩にぎりのように見えますが、やや甘めのだし醤油味で、常温のままでも固くなくそのまま食べることができます。
アルミパック入りで嵩張らず、手軽。賞味期限5年とかなり長く備蓄できますので、持ち出し袋に入れっぱなしでOK。食べたい分だけを非常用持ち出し袋に入れておけば、それだけで備蓄完了です。
もっちりつや炊きおにぎり
こちらは最近発売になった5年保存可能なおにぎりです。
レトルトタイプなので、開封すればすぐに食べられます。
北海道産のお米100%使用。味は五目・こんぶ・うめしその3種。味にバリエーションがあり、3種揃えておけば飽きがこなくていいですね。
小さい子供用に入れておきたいお菓子の非常食
お子さん用の持ち出し袋を作っている方も多いかと思います。小さいお子さんには、やはり避難先でも美味しく食べられるものが一番ですよね。
災害食用ハイハイン
なんとハイハインにも非常食バージョンがあります。
賞味期限は5年とかなり長く備蓄が可能。味も食感も市販品と同じなので、いつもと同じお菓子を避難先でも食べさせてあげることができます。
ビスコ保存缶
ビスコにも非常食バージョンがあり、こちらは缶に入っています。
缶入りは嵩張るのですが、こちらは比較的小さめな缶なので、ほかのお菓子缶よりは嵩張らないのではないでしょうか。中は5枚入り×6袋入っており、個包装なので少量ずつ食べやすいです。残っても蓋ができるのがいいですね。
災害用持ち出し袋に入れる非常食は、携帯性を重視
本当であればご飯とおかずのセット3食分をバッグに詰め込みたいところですが、早急に避難するにはバッグを軽量化することが一番です。
好きな味のものを入れること
嫌いなものや、普段あまり食べないようなものは、なるべく備蓄しないようにすることも鉄則です。よくある『好きな味じゃないから災害備蓄にでもおいとくか』はNG。賞味期限切れになった後のことも考え、できるだけ好みにあった非常食を備蓄することがポイントです。
初めて買う非常食の場合、一度食べてみてみることをおすすめします。
家にあるお菓子やレトルトなどではだめ?
家にあるものを利用してももちろん大丈夫です!カロリーメイトではなくソイジョイや、お菓子缶ではなく普通のポテトチップスなど、普段食べ慣れているものが本当なら一番良いです。いざというとき抵抗感なく食べられますし、安心度が違います。
普段食べているものを利用する場合、非常用持ち出し袋に入れっぱなしにできるものが理想です。
そうでない場合、台風など予め準備ができるときはいいですが、地震など緊急的に急いで避難が必要なとき、家にある備蓄を棚から出して持ち出し袋に入れてとなると、時間がかかり効率が非常に悪いです。
結局持ち出せなかったということにならないよう、とりあえず少量でもいいので、非常用持ち出し袋に何かいれておきましょう。